紹介レビュー一覧

ピックアップレビュー

サマースマイル・アゲイン

表紙絵は読了後に見直してほしい。きっと最初には気づかなかった描写が目に入り、涙がじんわり滲むほどの世界に見えてくるから。


この作品を開くと、まず最初にとても爽やかでインパクト充分な表紙絵が目に入ります。
この絵は作品世界を存分に表現していて、それだけでも素晴らしいのだけれど、物語を読み終わってからもう一度ぜひ見直していただきたい。
読後に見ると最初には気づかなかった描写が目に入り、涙がじんわり滲むほどの世界に見えてきます。

そして作品世界。
作者様の筆致は爽やかで軽やかで、それでいてしみじみとした感情を呼び起こすような、物語の世界観にぴったりの素晴らしいものでした。
地味な"ボク"と真冬生まれの美少女、真夏ちゃん。そんな二人が織り成す少し切なくて爽やかなお話です。

物語のラストも、(ネタバレになると困るので詳細は伏せますが)こういう場面で終わるのが大好きです。
素晴らしい作品をありがとうございました。

スタッフコメント

表紙や冒頭のセリフに込められた意図などに、物語の全容を理解してから気付き、もう一度はじめから読み直す。
それは幸せな体験で、面白いと感じた作品の多くはそんな驚きも含めて好きになっていくものだと思います。
レビューの中から、そういった沢山の「好き」が感じ取れて、優しい気持ちになれました。

最強魔女ですが怖がって男が寄ってこないので、異世界に転生してみました。あれ、これって性別間違ってない? in 山口県。

だまされたと思って読んでみてよ。


なあ、このレビューを見た君。
まあほとんどが、山口県に興味は無いだろうね。
この作品を読んでみると良いぜ。
どこを見ても山口県への愛に溢れている。
りかいできない?俺もだった。
るりこーじ、センザキッチン……山口県の名所だ。
そりゃ知らないよ。俺も行ったことないもの。
でもね、この作品素晴らしいのは、知らなくても興味を持てる書き方をしてること、後書きの解説が軽妙なこと、作者さんわざわざ取材旅行までして写真入れてること。
読んでると、いつの間にか山口県が好きになってるんだ。
だまされたと思って読んでみてよ。
もちろん、キャラクターの魅力や、小説としての面白さが根底にあるのは間違いない。
異世界人の主人公目線で語られるズレた感覚、個性的なキャラクターたちが織り成すストーリー。ちょっとラブコメしはじめやがって爆発しろ。

とにかく、ぜひ読んでくれ。
最後に、洋楽好きなやつ、必読だ。

スタッフコメント

地元に住む読者がニヤリとでき、それ以外の読者が『へー』と思えるローカルな話題。
それらを上手く汲み取っていて、作品や山口県への興味を高めるレビューですね。
最後の特定の読者への一言も、良い引きになっているかと思います。

作家になりたい人が多すぎる

本作の主人公「私」は、自費出版系の出版社で働く派遣編集者


日々、素人物書きが書いた原稿モドキの書籍化に向けて奮闘します。

「そんな「私」が相手する作品群は、並大抵のモノではありません。

怪しげな専門用語が羅列された「闘病記」。
なにを言いたいのかサッパリ分からない「恋愛小説」。
読解困難な「スペースファンタジーポエム」などなど。

ときには、「私」は作品の圧倒的な破壊力に打ちのめされてしまいます。
「アホなことを言うんじゃない」と顧客である著者を叱責することも、たまーにあります。

本作では、そんな「私」の編集者ライフがコメディタッチに描かれています。

物語が妙に生々し……リアルだと思ったら、作者様は出版業界に造詣が深いお方のよう。
なるほど、納得致しました。

最後にひと言。
「感想欄」の作者様の回答は真摯でありながら軽妙で、本作と同じように楽しく読めるのもスバらしいです!

スタッフコメント

テーマへの興味もさることながら、最後の一言を見てまず先に感想欄に足を運んでしまいました。
個人の意見というよりも作中の内容を客観的に伝え、作品を読む気にさせてくれる良いレビューかと思います。

坊ちゃんの下界事件簿

ほっこり温かな物語に心癒される


 山神と人との息子であり自身も神である草草こと坊ちゃんと、草々至上主義の守役二人が、人間界にて色んな事件を解決していくお話です。
 「しゃばけ」を彷彿とさせるお話ですが、より軽快で推理(や解決策)が面白いと思います。妖が原因だから退治する、人が犯人だから逮捕してもらう、という単純な結末ではない点が良いです。
 主要キャラもそれぞれに可愛さを感じられる性格です。意外と自分の意思を通す坊ちゃんや従妹よりもビビりな従兄、要領の悪い割に坊ちゃん効果で事件を解決する役人、幼いのにしっかりした妖、美人なのに少し抜けた所のある仙などがくすりと笑わせてくれます。
 一話完結型で読めるのも有り難いです。読んだらほっこり心和むこと間違いなしです。

 また、同作者様の「老魔術師は二度目を生きる」もお勧めです。

スタッフコメント

分かりやすい内容説明と読み手にオススメするポイントが適切で、『読んでみようかな』という気持ちにさせてくれるレビューでした。

謙虚、堅実をモットーに生きております!

レブな日常系うんちくラブコメディ


嫌な人物はほとんどいないです。ほとんどみんな、いい子もしくはいい人です。
 なのに、……主人公を筆頭に、どこか変なキャラばかりです。(^_^;) 妙な性格というか、残念な中身というか。
 そんなキャラたちが、わちゃわちゃと過ごす学校生活です。
 たまにピンチがあります、すごくピンチもあります。でもなんとか切り抜けて、たまに恋愛要素があるような、ないような……?
 どこか残念だけど、魅力的な男性キャラが多いので、主人公と恋愛関係になってほしいのですが、……ならなくてもいいような気もします。(笑)

 個人的には、伊万里様が一番、好きです。
 ただ本当にキャラが多い小説なので、読む人によってお気に入りキャラはちがうのだろうと思います。
 あなたもぜひ小説を読んで、お気に入りのキャラを探してみてください。

スタッフコメント

『変なキャラ』『残念な中身』というフレーズの中に、作品や登場人物への愛を感じました。
自分が通う学校を紹介するような弾むような文章に、その世界に生きる住人たちへの興味が湧いてきます。

それでも、人を殺しちゃだめですか?

それでも、人を殺しちゃだめですか?


――ねぇ、なんで人を殺しちゃいけないの?

 私は人を殺した。
 事故に見せかけて人を殺した。
 皆は事故だって思ってくれたようだ。
 でも、とある刑事が私の前に立ちふさがった。
 果たして私は逃げ切ることができるのだろうか。

本格ミステリー作品。犯人視点で語られる事件。
多くのミステリーは、”誰が殺したか”を推理するが、この物語は、
”どうやって殺したか”、”なぜ殺したか”を追いかけていく。
徐々に明らかになっていく事件の全貌。
トリックや動機は何なのか、なぜ彼女は人を殺さなくてはいけなかったのか。
3万文字に詰め込んだ一つのテーマは重くて切ない。
本格ミステリーを味わいたい方は是非読むことをお勧めします。

スタッフコメント

インパクトのある冒頭の一文から、淡々と映画の予告編を思わせるフレーズの数々。
ミステリーを好む読者層が引きこまれる要素が詰まっているように感じました。


恋愛(異世界恋愛、現実世界恋愛)その他レビュー

薔薇騎士物語

優美、でも甘くない『骨太』な王国恋愛譚。女性はもちろん、男性もどうぞ


男装の麗人にして凄腕の騎士アトレーユ、美しき王女キャルメ、隣国最強の騎士ラスティグ、謎多き王太子と姫君たち…と、登場人物がとても華やかな異世界王国恋愛譚……
なのですが、こちらの作者様、甘っちょろい恋愛脳を持ってないようです。

お話は意外にもガッチリ骨太。王位継承を巡る陰謀が交錯し、スパイが暗躍。激しいアクション、果ては互いの国の軍勢衝突…と、アクション+ミステリー盛り盛りです。

そんな殺伐とした中で、キャルメと仕えるアトレーユの密やかな触れあい、アトレーユとラスティグの勘違いしつつも少しずつ近づいていく過程、といったいくつもの『愛』が描かれる。
登場人物それぞれは使命や矜持にこだわって生きていて、とても格好良い。そんな張り詰めた生き方が下地にあるからこそ、そっと触れあう『愛』が宝石のように輝いています。

ストーリーでぐいぐい引っ張ってくるので、男性でも読みやすい一作。ぜひご一読を。


ファンタジー(ハイファンタジー、ローファンタジー)その他レビュー

四度目は嫌な死属性魔術師

ゾンビモノのゾンビ側が主人公


「この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。」
この一文を他の作品と同程度に捉えてはいけない。
書籍化もしてて、5巻発売目前ですが…… 私は書籍化の一報を目にした時、担当編集の正気を疑いました。

死体改造したり、食ったり、「主人公が」食われたりします。

あと、登場人物の年齢がおかしい。
「0歳の宿敵」とか「3歳の勇者」とか普通に出てくる。
とはいえ、トガってるのはそのくらいで、その他はなろうでは見慣れたスローライフ系。
ちょっと主人公が過労で耐性スキル獲得したり、皇帝になってかなり広大な領域支配するようになったりするけど。
主人公の行動理念も明確です。
周りの大切なヒトを守ってたり、怨みある敵は徹底的に叩いたりします。
ちょっと守る相手が神様とその信者だったり、異世界に居たり、敵も最高神だったり多世界の輪廻神だったりするだけです。

以上のように、安心して読める作品です。


文芸(純文学、ヒューマンドラマ、歴史、推理、ホラー、アクション、コメディー)その他レビュー

ラグナロク

冷えた日本酒を、焙ったスルメを肴に一杯。

相対する強者が間合いを計る様にジリジリと焼けていくスルメ。

地を蹴り両者がぶつかり合うその瞬間は、我慢出来ずに飲んでしまった最初の一口だ。

鳩尾にめり込んだ膝が胃液を吐き出させ、
口に放り込んだ烏賊が唾液を滲み出させる。

繰り出される白刃が肉を削ぎ、
噛み合わせた歯がゲソを千切る。

剣戟、銃撃、活殺劇。
崩れ落ちる外壁、突き破られる天井、無残に弾け飛ぶ調度品、舞い上がる粉塵。
仔細に描かれたそれらを、

ゆっくりと、

じっくりと、

歯で磨り潰したスルメを舐る様に味わって欲しい。

そして、しっかりと味わい切り嘗て烏賊だった残骸を飲み込み、改めて冷えた日本酒を一杯、流し込む。
体中を駆け巡る刺激の様に、
染み渡るアルコールの様に、
濃密な戦闘描写によって広がった情景が、貴方をラグナロクの世界に誘う。

お酒は二十歳になってから!
しかし当該作品は十五歳から頂けます!


SF(VRゲーム、宇宙、空想科学、パニック) その他レビュー

CO-ROU・THE・CHRONICLE~虎狼忍術史伝~

VRMMOとJapanese Ninjaの奇跡的相性(マリアージュ)

VRMMOモノの小説はSAOしか読んだことない。
そんな方が沢山いると思います。
しかし、この作品はそんなVRMMO初心者に。いや、初心者にこそハマる。

ゲームの中の世界ということで、敵キャラや世界観的に西洋的なものが多いイメージのVRMMOモノですが、この作品は和の代名詞、「忍者」がテーマになっています。
VRMMOと忍者、この組み合わせが想像以上に噛み合っていて面白い。
特に、「奥義」と名付けられたシステムがこの作品のより面白いものにし、他作品と差別化する重要なものになっています。

極めつけは作者様の構成力と文章力。
プロローグからいきなりゲーム内の世界で始まり、読者を物語に引き込んでくれます。
続く物語の骨子となるゲームの説明場面も登場人物内の会話で成り立っており、読むのに苦を感じさせません。

騙されたと思って第一話をクリックしてください。
いつの間にか最新話に到達します。


その他(童話、詩、エッセイ、その他)その他レビュー

石河翠の試験に出ない中国語

『老师』は『腐女』の『美女』でした!


本エッセイの著者、『宅女』の石河翠さんは上海に住んでおられたとのこと。

帰国してウン年。
石河さんは、再度、中国語を学びはじめます。

『老师』は『腐女』の留学生。
『人造美女』ではない、色白美人の『美女』です。
彼女の授業は型破りで面白い。

中国でも『光之美少女』は人気だとか、『老师』の『牛郎店』通い疑惑が出てくるとか、飽きません。
そんなユカイな授業ですが、突然『捣乱』に陥ります。

悪気はなさそうですが、文化の違いというか、いかにもな展開ですね……

最後にひと言。
石河さんの『老公』は幸せだろうなと思います。



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