
運営スタッフがネット小説大賞応募作品から、気になる作品をピックアップいたします。
原則選考とは無関係ですが、素敵な作品をたくさんの方の目に触れる機会をつくることを目的としています。
ぜひご期待ください。
作品タイトル『その日、さよならを言うために』
著者名 七狗
その国は、青い桜の森に侵食されていた。
年に二回しか花を散らさない、不思議な青い桜。
その花は毒を含む白い霧を放出している為、国内は三つの区画に分断を余儀なくされている。
森の中を通り抜ける事が出来るのは、伝言局と呼ばれる組織に所属する、毒素の抗体を持った特殊な配達員達だけ。
彼らは日々、国民達の唯一の連絡ツールであるメッセージカードを届ける為に、毒の森の中を行き来している。
主人公のリグレットは、伝言局に所属する新人の特殊配達員。
周囲の人々に見守られ、少しずつ成長していく彼女は、次第に桜の木とそれにまつわる出来事に巻き込まれていく。
毒の森で分断された国民たちのために、森を駆け抜け手紙を届ける特殊配達員として働く、リグレットの物語です。
毒に対する抗体を持つ者だけが就ける特殊配達員ですが、リグレットは特にその抗体が高く、他の配達員よりも数倍長く森に滞在することができる特殊体質があります。また、一般人は近寄ることすらできず、抗体を持っていても少しずつ毒に侵されてしまう危険な森ですが、リグレットには森に対する恐怖心がなく、他の者とは抱いている感情が違う点が大変興味深いです。
キャラクターが皆個性豊かで魅力があり、各々が抱えている葛藤や過去も、物語を彩る重要なポイントになっていて、それもこの作品の強みだと感じました。毒の森を一緒に駆け回っている相棒の狼たちも表情豊かで可愛らしく、愛されるキャラクターとして描かれています。 リグレットの抗体値の高さや毒の森など、少しずつ明らかになっていく真実やキャラクターの成長に、目が離せない作品となっています。

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作品タイトル『ポジティブ公爵令嬢はゴブリンの妻になりたい』
著者名 moca工房
妄言ばかり繰り返す公爵家の令嬢ヴィーチェ・ファムリアントは王子から婚約破棄を突きつけられたその時、大きな体躯のゴブリンが侵入し、ヴィーチェを連れ去る事件が起こった。誰もが彼女の命はもうないと思っただろう。しかし拐われた令嬢は歓喜の声を上げていた。
これは幼少期にゴブリンに一目惚れしたポジティブな公爵令嬢とそんな令嬢に振り回されるボスゴブリンによる出会いから婚約破棄後のお話。
主人公のヴィーチェ・ファムリアント公爵令嬢が、リラという名前のゴブリンに恋をする物語です。
非常に明快な文章で読みやすく、ヴィーチェとリラの魅力も十分伝わってきます。 ヴィーチェとリラの交流を通して、ヴィーチェの公爵令嬢としての立場の難しさや、人間からゴブリンに対して向けられる偏見が少しずつ開示されていくため、「この作品を読み進めたい」という読者の気持ちを喚起させます。
ストーリーのテンポも良く、主人公以外のキャラクターの細やかな心情描写・「緑肌病」と呼ばれる病気の治療エピソード・第二王子とヴィーチェとの婚約破棄問題などによって、盛り上がりポイントが組み込まれており、飽きの来ない展開となっています。

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作品タイトル『秘められた遺志』
著者名 しまおか
富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。
三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?
資産管理アドバイザーである主人公が、クライアントである富豪の遺品整理中、リストには載っていない不審物と暗号のようなメモを見つけてしまったことから、隠された真相を暴いていくというミステリー作品です。
通帳、ブランド品に留まらず、犬の遺体という強烈なインパクトの不審物が見つかる場面から物語が始まることで好奇心を掻き立てられ、その熱が覚めることなく最後まで読み切れます。 また、法律の知識が多分に描写されますが、簡潔にわかりやすく説明されているおかげで、読みにくさも一切ありません。
章ごとにひとつひとつの不審物の謎が紐解かれ、また、それらにまつわる人間関係も明らかになっていく過程で、無関係と思われた事象や人物がラストへ向けて繋がっていく展開や、緻密な伏線の数々に驚かされます。 登場人物たちのバックボーンについても、現代社会が抱える問題をうまく落とし込んでおり、架空の人物とはいえ実際に存在しているように思えるほどリアルです。
この物語自体は完結していますが、過去に凶悪事件を解決している主人公の実績など、まだまだ展開が望める作品であり、お金を払っても後悔のないほど満足感のある作品でした。

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作品タイトル『異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?』
著者名 MITT
とある潰れかけた地方コンビニ経営者の猫大好きおっさんが、飼い猫とコンビニ共々異世界へ転移した!!
転移したその先は、ジャングルで、周りみんなケモミミだらけで、おまけに飼い猫がネコミミ美少女化! やったねっ! ビューティフォー!
ただし、マジカルチートをもらえたのは飼い猫の方。
残念だったねぇ。
ついでみたいな感じで、おっさんもケモミミ化!
やったね! ケモミミ仲間だっつのー!
とりあえず、おっさんは、ネコ耳、猫しっぽ以外、チートなし。
あるのは、チートでラブラブなネコ耳娘とコンビニの建物、在庫商品のみっ!
コンビニごと異世界に転移した、コンビニオーナーの高倉健太郎。飼っていた猫のテンチョーと健太郎は、転移したと同時にケモミミの姿になってしまいます。
神様によって異世界に招かれたのはテンチョーであり、健太郎はオマケに過ぎない。その役目の分担により、物語が大きく広がっています。
コンビニを再開すると大好評で、人が集まり、やがて周辺はコンビニ村に。いくつもの問題や困難が差し迫ろうとも、うまく解決していく健太郎の活躍から目が離せませんでした。
健太郎は好感が持てる人物で、彼が大好きなテンチョーからは、猫らしい可愛らしさが溢れています。また、脇役たちからも個性が感じられました。なかでも特に注目したのは、配送トラックでやってきた和歌子です。コンビニの元バイトリーダーであり、いろいろと大活躍してました。
コンビニとしてのサクセスストーリーだけでなく、目まぐるしい怒濤の展開も、この作品の面白さの一つになります。

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作品タイトル『Y、失われた記憶』
著者名 湖灯
目が覚めた私が見たものは、見知らぬ男の部屋。
一糸まとわぬ自分の体と、脱ぎ散らかされた男の衣服。
ビールと煙草の匂いに、強烈な異臭、湿ったシーツ。
隠された自分の衣服と記憶。
この部屋の主は、どこへ消えたのか?
執拗に部屋を訪ねて来る男は、敵か味方か?
タクシーの男は誰なのか?
そして、私は誰なのか……
一糸まとわぬ姿で目覚めた主人公は、そこが見知らぬ部屋であること、誰かの存在を感じさせる物が点在していること、そして自分が誰なのかさえ思い出せないという緊迫感あふれる状況に直面していくミステリー作品です。
最初の違和感から部屋の異常性、そして自分が誰でどこにいるのか分からないという自分が置かれた状況に徐々に気付いていく様子が細かく描かれているため、読者もその不安を一緒に体験できます。特に濡れたシーツや異常な臭気などの詳細な描写は、彼女のパニックを増幅させる工夫がされています。
少しずつ散りばめられたヒントを頼りに部屋を出る決意をする主人公ですが、外には怪しい男が見張っていたりと謎が謎を呼ぶ展開に目が離せません。
冒頭はワンシチュエーションですが、物語が進むにつれ舞台も変化していきだんだん真実へと近づいていきます。
全体を通して不穏な空気が漂っており、恐怖感や緊張感など心理描写が非常にリアルです。
また最後まで読むと、そういうことだったのかと思わせてくれる伏線がたくさんあるので読み返したくなる作品です。

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作品タイトル『僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜』
著者名 GOM
今から9年前、全世界を襲った時空融合大災害。
その後、地球は異世界と恒久的に繋がる事となった。
地球と繋がる異世界門のある街ポータムで発生する魔法と科学、双方が関係する事件。
その事件を解決すべく結成された、異界技術捜査室。
捜査室に地球より派遣、出向してきた青年が科学捜査手法を用い、美幼女姫様ら愉快な仲間達と一緒に事件と戦う物語。
地球と異世界が混じりあった設定だからこその独特な雰囲気、また変わった文化が構築されています。
異界技術捜査室で働く日本人巡査のタケと魔族警部補のリーヤは、事件解決のために科学捜査を用いていました。それを主に担うのがタケであり、科学的な専門知識を駆使しています。
タケとリーヤのやり取りは楽しげで、さらに同僚たちも個性的です。
エルフやオークなど、ファンタジー種族の魔法も絡みつつ、MRIなどの現代医療機器も使われていて興味深かったです。そうした専門的な知識がたくさん披露されていますが、かみ砕いた説明のおかげで読みやすく仕上がっています。
この物語でもう一つ重要なファクターが日本食。タケによって捜査室内でも日本食が流行し、様々な場面で登場していました。食事シーンは美味しそうで、ときには異世界の人々の心を大きく揺り動かすことも。
地球と異世界がどのような未来を紡いでいくのか、その目で確かめて下さい。

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作品タイトル『ウェズリーが真相に気付く時』
著者名 上津英
黒煙の街ルミリエで、有名な建築家デヴィッドが殺された。
デヴィッドの死後、彼のメイドだったリタは用途不明の鍵を手紙で受け取り大切に預かるよう言われる。…が、同時に孫である人気作家のウェズリーのメイドになるようにも言われてしまう。
デヴィッドの葬式で一瞬会ったウェズリーはぶっきらぼうで感じが悪く、正直好きではなかった。この祖父と孫の仲がどうも良くないらしい。
が。
ある事をきっかけに2人は仮の主従契約を結ぶ事に。そして、2人に鍵を狙う犯人の魔の手が忍び寄る。
何者かに主人を殺されてしまったメイドのリタは、主人の遺言に従い、託された鍵を守ること、そして主人の孫のウェズリーに仕えることを決意します。託された鍵を巡って、リタとウェズリーは主人を殺した犯人から狙われることになり、謎解き要素を含んだミステリーが展開されていきます。
性格に難があるウェズリーに仕えることに抵抗を感じるリタは、ウェズリー自身からも厄介者扱いされてしまいます。
それでも主人の遺言を守るためにめげずに頑張るリタの姿はけなげで、応援したくなるキャラクターです。また、田舎出身のリタが独り言を言う際に、訛りが強く出てしまうところも大変可愛らしいです。さらにウェズリーの意地っ張りで口が悪い一方で、素直になれず言葉を詰まらせてしまう一面も彼というキャラクターを際立たせる魅力的な要素となっています。
ぎくしゃくしていた二人が、主人の死の真相に迫るにつれて次第に打ち解けていく様子も見どころです。二人の関係が恋愛に発展せず、息のあったバディとして終わっている点も興味深く、今後も色んな展開を見せて欲しいと思わせてくれます。
主人の死に関連する陰謀が徐々に明らかになっていく様子や、祖父とウェズリーの家族愛なども描かれ、読み応えのある作品でした。

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作品タイトル『ルール』
著者名 新菜いに
放課後の恒例となった、友達同士でする怪談話。
その日聞いた怪談は、実は高校の近所が舞台となっていた。
主人公の亜美は怖がりだったが、周りの好奇心に押されその場所へと向かうことに。
その怪談は何を伝えようとしていたのか――その意味を知ったときには、もう遅い。
怪談話にハマっている仲良し5人組の女子高生が、ひとつの怪談話を元に地元の旧校舎で起こった実際の事件が絡む不思議な事象に巻き込まれていく、本格的なミステリーホラーです。
まず、5人それぞれの性格がバラバラでありながらも絶妙なバランスで調和している点が印象的です。女子高生特有の空気感や青春らしさが漂う雰囲気も感じられます。
ホラー要素では、描写の繊細さから恐怖感に満ちており、物語に独特の不気味さと緊張感を与えています。特に旧校舎でのかくれんぼのシーンでは何かが忍び寄ってくるような不安感があり、「もういいかい?」というかくれんぼのフレーズが突然後ろから聞こえてくる場面では読者の背筋がゾクッとするような恐怖感をもたらします。
そして、何事もなく無事に終わったと一安心したのも束の間、翌日から次々に明らかになっていく恐ろしい真実に読者も驚きを隠せない展開が繰り広げられます。
さらに、章ごとに時代や登場人物が変わり、それらがすべて繋がっていく構成となっているため、「なるほど、そういうことだったのか」と感嘆します。