第12回ネット小説大賞において『国立大学法人東京魔術大学 ─血継魔術科─』で受賞となったおめがじょん先生先生に独占インタビューを敢行!
前半では『受賞作の見どころ』を、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪
その魔剣を運悪く使えるようになってしまった大学生、伊庭八代はパトカーの中で全裸でそう呟いた。魔術が一般に普及した現代。 科学が発展すると共に少しずつ魔術が衰退している現代で 日本の魔術学校の最高峰、国立大学法人東京魔術大学【血継魔術科】では今日も問題が発生していた。生徒が酔っぱらった挙句全裸で寝ていて逮捕されるわ。テロが起きて最前線に駆り出されるわの慌ただしい日々。 この物語は、そんなたった”七人”しかいない血継魔術科の怠惰な日常と栄光の日々を描いた物語である。
――――受賞おめでとうございます! 本作品は以前にも拝読したことがあるのですが、ネット小説大賞に応募されたのは初めてですか?
ありがとうございます。『小説家になろう』で 2020年に投稿して、第9回のときに初めてネット小説大賞に応募して、二次選考まで残りましたね。
そこから人気が出て、それから今まで連載を続けていて。
第12回ネット小説大賞はSNSのタイムラインで話題になっていたので、私のような創作の話を全くしない作家は応募しないと話題に乗っかれないので、寂しくて参加しました 。
―――2020年から連載が続いている作品なのですね! これまで読者の方から今まで嬉しかった感想はありますか?
僕は小説家になろうに登録したのが2006年で、ユーザーIDも4桁という初期時代から小説を書いてたんですけど。
―――ええ! そんな初期から活動されていたんですね。
ええ、ただ一時期は創作自体をほとんどやめて放置してたんですよ。それから10年くらい経って『国立大学法人東京魔術大学』を書いてたら、当時の読者の方からメッセージが来て。
『久しぶりに見たら名前変わってるしびっくりした。今の作品も読んでるよ』って言ってもらえたんです。あれは嬉しかったですね。
――――10年という長い年月を経て、先生の作品を読み続けてくださったのは嬉しいですね。ところで、本作はシリアスとギャグのバランスが絶妙な作品だと思います。「とにかく1話の冒頭を読んでくれ!」というくらい序盤もインパクトがすごくて。
暗い話ばっかりになるとつまらないので、暗い部分をギャグで覆い隠そうという感じで書いてます。ギャグやインパクトはやっぱり大事なので。
―――キャラクターも個性が強くて深い背景があって、キャラクターの魔術も練られている印象があります。プロットや設定表は作られているんですか?
プロットは作るんですけど、書き終えると別物ですよ。
その瞬間の面白さが大事なので、ノリでけっこう変わるので……後々になって地獄をみるという。その繰り返しですね。そのときの気持ちだけで書いてます。
それを読者の方からたまに突っ込まれることもありますね。
―――読者の方は読み込んでいただいている分、よく気づいていただけると。それだけ好きでいていただけてるのも嬉しいですね。
誤字脱字報告とかも助かってて、いつも同じ読者の方が報告してくれてるんですよ。「俺はお前にめちゃくちゃ支えられてるからな!」って思ってます。最終話まで書けたら後書きで最大の功労者として謝辞を述べる予定です。
―――読者の方からの愛も、いろんなかたちがありますね。ところで先生の作品は、なろうの王道系ではないものの、しっかり読者の方から支持されているのが特徴だと思いますがどうでしょうか?
僕は2000年あたりのラノベの亡霊なんですよね。当時めちゃくちゃ読んでいたこともあって影響を受けているので、そういう作品が好きな読者層にウケてるんだと思いますね。
―――出版社の皆様からはよく重厚なローファンタジーを求めている声もいただきますが、作品数的にはボリュームが少ない作品層かもしれませんね。
そうですね、書いている方がそもそも少ないですからね。同じような作品を書いている仲間がいないからちょっと寂しさもありますね。
―――そういう意味では、本作が受賞されたことがコンテストにとっても大きな意味があると思います! 先生からコミカライズされるのが楽しみなシーンはありますか?
そうですね……主人公が裸になるシーンは「大事な部分は黒丸で隠したい」って言われたのですが、僕は絶対モザイクにしたくて。
ただ、編集者さんから時代的に難しいと言われてしまって、いい年こいた大人たちが股間をモザイクにするか否かを話し合う会議が開催されるぐらいまで話が大きくなりました。
―――そうなんですね、先生らしいこだわりが。
ええ、一番重要なところですので、最終的にどうなるかは楽しみにしていてください。
―――最後に読者の皆様や、本作が気になっている皆様に一言お願いします!
本作は職場や学校で嫌なことがあったときに、トイレに籠って読めるような作品を目指しています。
読者諸兄の嫌いな奴らが職場や学校でウンコを漏らすことになれば幸いです。
受賞作品についてのコメント、ありがとうございました! 続いては小説の書き方についてのインタビューです♪
―――先生は兼業作家さんですよね。お仕事もお忙しそうですが、両立は大変ではないですか?
生計を立てるという意味では、専業作家さんの方が大変だと思いますよ。これから作家を目指す人は自分のライフプランをちゃんと考えて、兼業か専業かを選択するのがいいと思います。私自身収入は安定していますが、仕事が忙しく職責も上がったので更新頻度はとても下がってしまいました。
―――タイトルをつけるときに、意識されていることはありますか?
とにかくふざけることを意識している感じです。それでもダメなときは酒の力を借りています。
いい感じに酔っぱらって天井を眺めていると急にタイトルが降ってくるのでそれに従います。
―――長編を書くことが苦手という方も多いですが、そういった方に向けてのアドバイスはありますか?
長編書いてると途中ダルくなりますよね。わかります。
そんなときは筆をおくのもいいかもしれません。1か月ぐらい放置すると、たまに書きたくなります。そのときにガっと書いちゃうのも手かなと思います。
ネトコンさんの第9回の講評で更新頻度が云々みたいな話もされていましたが大丈夫です。
私は月一更新でも受賞できました。ワンチャンいけます。
―――最後に、小説家を目指す方や、来年のネット小説大賞に応募したい方に向けてのアドバイスをお願いします!
SNSで偉そうな書籍化作家の御大層なアドバイスを真に受けるより、自身が長く創作を続けられる環境作りについて一考するのもよいかもしれません。
私はこの業界を最後まで好きに書き続けた奴が笑う業界だと認識しております。私自身、創作歴は20年近いです。
その過程で多くの作家達が消えていくのも見送ってきました。創作を始めた当時の仲間はもう誰も残っていません。
この文章を読んだ皆様が納得できるまで創作が続けられるよう、そんな考え方もあるのだと頭の隅にでも置いて頂けると嬉しいです。
―――雨垂れ石を穿つと言いますが、長く続けてこられたおめがじょん先生の言葉だからこそ重みのあるアドバイスですね。素敵なインタビューをありがとうございました!
受賞作『国立大学法人東京魔術大学 ─血継魔術科─』を、ぜひチェックしてみてください!