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【MIZUNA先生】受賞インタビュー|受賞作の見どころと『小説の書き方』について

 

Illustrated by Ruki  (c)2022 Mizuna / TO Books.

第10回ネット小説大賞において『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます』で
期間中受賞となったMIZUNA先生に独占インタビューを敢行!

前半では『受賞作の見どころ』を、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪

    

受賞作品のご紹介

”型破りな腹黒神童”がギロチン回避のために企む、
ハートフル家族再創造計画、始動!

「さあ、悪役家族(僕たち)の大逆転といくよ」

一家断罪のゲームシナリオが待つバルディア辺境伯家――その長男に転生したリッド(6歳)は、ほくそ笑んでいた。なぜなら前世で本作を端役までやり尽くした彼にとって、悪役モブを覚醒させることなど、たわいもないことだったのだ!

まずは手始めに、崩壊寸前の家族を更生へ。抜群の頭脳で、母の病を治すため幻の特効薬を開発。グレた妹には徹夜で絵本を読み聞かせ、冷酷なくせに実はチョロい父には甘え倒して、手玉にとる!

だが、順調に見えたファミリー円満計画は元シナリオにないマグノリア帝国領地争いに巻き込まれてしまい……!?

闇落ち一家に愛を! 帝国に明るい未来を!“型破りな腹黒神童”のハートフル家族再創造計画、始動!

作品:『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます

 

 

――――今回、初めて書籍を刊行されるMIZUNA先生。改めてネット小説大賞受賞、おめでとうございます!入賞のお話を聞いた時、どのようなお気持ちでしたか?

MIZUNA先生

人生で初めて書いた小説が入賞するなんて夢にも思わなかったので、受賞を知ったときには本当に驚きました。

子供の頃から漠然とゲーム、アニメ、漫画、映画、ライトノベルなどの分野で将来働きたいという思いはずっとあったので、思いがけず夢が叶って嬉しかったです。

 ――――今回は、処女作での受賞になりますか?

MIZUNA先生

そうですね。プロットや構成について紙に書いたのも、今作が初めてでした。

小説を書き始めたのは、コンビニで買った格言集を読んだのがきっかけですね。リチャード・ハックという人の「プロの作家とは、書くことをやめなかったアマチュアのこと」という言葉を読んで、「確かに、書くことだけなら自分でもできるかも?」と漠然と思いました。

ただ、リチャード・ハックという方の事はあまりよく知らないので、いつか作品を読んでみようと思っています。

 ――――数あるコンテストのなかから、なぜネット小説大賞に応募していただけたのでしょうか?

MIZUNA先生

どうせ書くなら書籍化を目標にしようと思って、コンテストを検索しました。そのとき、直近だったのが第10回ネット小説大賞だったんです。

コンテスト締め切りまであと一週間前後というタイミングで書き始めた作品だったと思います。

 ――――そんなギリギリのスタートだったんですね……! ちなみに受賞作は、『悪役令嬢』『乙女ゲーム』といった『小説家になろう』の流行をおさえた作品ですが、普段からこうした作品を読まれていたんですか?

MIZUNA先生

悪役令嬢ものは、ピッコマでよく読んでいました。勧善懲悪でわかりやすいですし、恋愛要素があるお話は好きですね。

 ――――乙女ゲームの悪役令嬢の取り巻きに転生した主人公・リッドが、運命を変えるべく頑張っていく本作。先生から、主人公の魅力をぜひご紹介していただけると嬉しいです!

MIZUNA先生

可愛くて、カッコ良くて、純粋で、悪戯っ子で、少しドジっ子だけど、人間臭く必死に努力しているところがリッドの魅力です。

彼の面持ちは母親似で、顔だけ見ると女の子と勘違いされる感じの可愛い男の子です。そんな男の子がさまざまな問題に直面して、色んな表情を見せながら活躍する姿はとても面白いと思っています。

執筆するときはいつも、主人公の困った可愛い顔が頭の中に浮かんできます。私の役目は、主人公に七難八苦を与えることだと思っていますね。

 ――――思いやりがあって健気に頑張るリッドくんは、一読者としても魅力的です。物語のスタート時点では6歳でしたよね。

MIZUNA先生

魔法を極めさせたい、政治的なことをやらせたい、商売をさせたいなど、物語が終わるまでに主人公にやらせたいことを決めて逆算していったら主人公の年齢も決まってきました。

主人公が何にどれだけ年月をかけるのかは、リアリティが出るように考えています。時間軸を飛ばしてしまうと戻れなくなっちゃうので、そこにも注意を払って執筆を進めていますね。

――――いよいよ10月8日に発売が予定されている本作。1巻の見どころを教えてください!

MIZUNA先生

まず、加筆と修正によってかなり読みやすくなっています。投稿当時を知っている方に読んでいただけたら、物語はそのままですが「別物になっている……!」と感じるかもしれません(笑)。

イラストも素敵で、特に主人公は私のイメージそのままで魅力的に仕上げていただきました。あとは、大ボリュームのSSもぜひ読んでもらいたいです。あるSSは2万文字を超えており、本編にも多少関わりがある内容になっています。

――――SSで2万字……ですか!? ボリュームがすごいです! 

MIZUNA先生

当初は4万文字以上も書いていたのですが、1巻では入りきりませんでした(笑)。 担当さん曰く、前編は1巻に、後編は2巻に収録予定だそうですので、こちらも楽しみにしてくださると嬉しいです。

 

――――最後にファンの皆さんや、本作が気になっている方に向けてのメッセージがあればお願いします! 

MIZUNA先生

作品を気に入って下さった皆様には感謝しかありません、本当に応援ありがとうございます! 

物語はまだ始まったばかりです。今後も色んな展開を考えておりますので、一緒に楽しんで頂ければ幸いです。

また、この作品は主人公のリッドが少しずつ成長していく話でもあるので、彼のことも温かく見守って頂ければ幸いです。

今後とも応援、宜しくお願い致します。

 

受賞作についてのインタビュー、ありがとうございました! ここからは、小説の書き方についてMIZUNA先生に沿言えていただきます

 


 

 

 ――――小説を書くときは、どのようなツールを活用されていますか?

MIZUNA先生

執筆はWordです。資料作成、まとめはパワーポイントを使っています。パワポは、会社員時代に提案書をよく作っていた名残でもありますね。

 ――――パワーポイントは、どんなことに活用されていますか?

MIZUNA先生

登場人物の設定などをまとめています。今では106ページくらいあるのですが、パワーポイントだと左側にスライドのサムネイルが表示されるので、必要なページを見つけやすいです。

資料を送るときに必要なページを抜粋するのも簡単なので、編集さんと打ち合わせをしたり、イラストレーターさんにイメージを伝えるのにも役に立っていますね。

――――書籍化するため、なろうで人気連載にするために参考にした作品はありますか?

MIZUNA先生

すでに書籍化されている作品を参考にしました。書籍化されている作品=ニーズのある作品であり、出版社の目に留まりやすいかなと思ったからです。

自分でも驚いたのですが、出版社のなかでも一番読んでいたのは本作を受賞させていただいたTOブックス様の作品でした。意図して狙った訳ではないのですが、初めて出版社の担当者と話したときに「うちの作品、めっちゃ読んでますね!」と言われて気付きました。

あとは毎日更新と、読みやすさ、適度な読み応えでしょうか。読み応えについては、1話あたり文字数1,500~2,500前後のボリュームになるように意識しています。

 ―――毎日更新をずっと継続されてきたMIZUNA先生ですが、執筆に詰まったことはありますか? 

MIZUNA先生

「悩む暇があったら書け! 書いて、書いて、書いて、書いて、書き続ける! それしかない!」という感じでしょうか。

私の場合、書かずにうだうだ悩んでいてもあまり良い発想が生まれず、書いていたら色んな発想が生まれてきます。執筆に悩んでも、とりあえずPCに向かい、Wordを開いて物語を書きます。

――――詰まっても、とにかく書く。実践するのはとても難しそうですが、毎日更新を続けられていたMIZUNA先生が仰られると説得力があります!

MIZUNA先生

もちろん、うまくいかない場合もありますが、ボツとなった物語に少し手を加え、角度を変えることで物語が前に進んでいますね。

なので、私の場合は悩んでも書く。詰まっても書く。うまくいかなくても書く。書いて、書き続けることが克服方法のような気がします……なんだか、脳筋みたいですね(笑)。

――――執筆前に、プロットを作成されていますが? 

MIZUNA先生

実は、プロットはほとんど書いていません。もちろん物語の全体像の構想と一本の筋は通していますが、それだけです。

あとは、章の全体像、すべきこと、などを書き出すぐらいですね。

受賞後はさすがに、担当者の方と打ち合わせするためにプロットフォーマットを作りましたが、投稿する最新話において都度プロットは作っていません。執筆するとき、Wordに軽く箇条書きするぐらいです。

――――舞台設定について、執筆前にどれくらいまで細かく決められているのか教えてください。

MIZUNA先生

舞台設定は始まりと終わりのイメージを作りますね。これは書いてみて気づいたことですが、世界観が狭いと物語が動かしにくくなります。

例えば、最初に細かい設定をすべて話してしまうとそのなかで世界を書かないといけなくなってしまいがちになるので、大枠だけ決めておくので十分だと思います。

MIZUNA先生

――――話の構成について、執筆前にどれくらいまで細かく決められているのか教えてください。

話の構成は、起承転結、テーマ、絶対性、5W1H、視点を意識しています。執筆前に決めている事はあまりないですね。物語の道筋に沿ったテーマと登場人物を決めて、あとはキャラ達を泳がせているイメージです。

――――タイトルをつけるときに、意識していることがあれば教えてください。

MIZUNA先生

どうすれば、読者の興味を引けるのか? この一点を意識しました。

ネット小説には様々なタグが存在しています。悪役令嬢や異世界転生などのキーワードですね。これらをどう組み合わせれば、タイトルだけでどんな作品なのか読者に伝わるかを考えました。
その結果、当初は今のタイトルより長かったわけですね。個人的には今のタイトルの方がさっぱりしていて好きです。

――――文章を書かれるときに、意識していること、注意していることはありますか?

MIZUNA先生

キャラクターの感情や表情、そして動作が伝わるように意識しています。ただ、その分、説明っぽくなってしまう時があるので、その点を最近は気を付けています。

あと、同じ表現を二回連続でしないようにとかですね。細かい事で言えば、文面の最後が「た。」や「る。」など、毎回同じ終わりが続くと読んだ時の違和感が凄くなり躍動感もなくなるので、気を付けている部分です。

――――そのほか、作家志望の方々や、次回のネット小説大賞応募者にアドバイスがあればいただけますと嬉しいです。

MIZUNA先生

アドバイスというと、大変おこがましいのですが……(笑)。 

応募前にまず「情報の選別」をしました。例えば「最近のなろうは異世界恋愛ばかりでつまらない」「異世界転生はもう飽きた」などは個人の主観であり、裏打ちがないので参考にしませんでした。

「ネット小説において、タイトルが重要。何故なら、みんなタイトルで内容を想像して読むか決めるから」といった情報を参考するようにしていました。

さまざまなソーシャルメディアによって情報過多になっているので、必要な情報を拾うことが大切だと思います。

――――タイトル付けや毎日更新といった工夫など、情報分析をした内容を実践されていることが素晴らしいなと思います。

MIZUNA先生
ありがとうございます。ただ、どんなジャンルであれ、作家が楽しく書ける作品を書いたら良いと思います。

受賞後に感じたことですが、各出版社様にはそれぞれの得意ジャンルや色があります。それらは出版社の書籍化作品を調べて分析すれば、検討が付いて来ると思います。出版社様が得意かつ好きな色を見定めて、その中で自分が楽しめる作品を書くというもの一つの戦略だと思います。

私の場合は、意図はしていませんでしたが、結果的にはそうなっていたと思います。

以上、僭越ではありますが皆様の参考になれば幸いです。

MIZUNA先生、ロングインタビューをありがとうございました! 10月8日に出される『やり込んだ乙女ゲームの悪役モブですが、断罪は嫌なので真っ当に生きます』。発売を心より楽しみにしております!

    

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