ワンポイントアドバイス

第8回ネット小説大賞最終選考総評

この度は、クラウドゲート株式会社が運営する『第8回ネット小説大賞』にご応募・ご参加いただき誠にありがとうございました。
今回からの試みとなる短編企画賞の応募作と合わせて第8回では10,332作品ものご応募をいただき、その中から、31作品が受賞し、内23作品が商業作品となる運びとなりました。

当コンテスト受賞作品である『異世界居酒屋「のぶ」』や『魔王様、リトライ』を含む、小説家になろう原作小説のアニメ放映がこの1~2年ほどで一気に増え、これまで以上に広い層へと認知されてきた印象があります。
アニメ化のみに限らず、ゲーム化や舞台化、チャットノベルなどの文字媒体の多方面の展開を受け、今回より始まった『短編企画賞』や『メディアミックス賞』などもあったことから、前回以上に幅の広い魅力的な作品が多く集まった、とても良いコンテストとなりました。

【ジャンルについて(ファンタジー)】

名実ともに小説家になろうのメインジャンルとなっているファンタジージャンル。
今年も応募作の6割を占める割合と、勢いの強さを感じる結果となりました。
ジャンルの割合に比例するように、受賞作品についても、金賞を受賞した『ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』『のんべんだらりな転生者~貧乏農家を満喫す~』をはじめとする全体の半分が(ハイ・ロー)ファンタジー作品となったことから、変わらずニーズの高いジャンルであると再認識した次第です。
昨今ではパーティ追放ものから発展したざまぁ要素を含んだ作品がポイントを獲得しており、結果としてランキング上位になっているのが印象的でした。コンテストの応募作品内でも、そういった要素を含んだ物が多く、書き手が市場を敏感に感じて研究を重ねた結果として表れているのではないかと感じました。
反面として、ざまぁ要素をやり過ぎてしまったり、動きが読者へと伝わりきれなかったりと、ビジュアルとして昇華されていない作品も見受けられました。特に関係していたのが主人公のキャラクター性で、読者に嫌悪感を抱かせず嫌らしさを感じさせない展開をどう表現するかがポイントで、更になろう読者層以外の一般読者層に合うかどうかの境界線はシビアに選定させて頂きました。

【ジャンルについて(恋愛作品)】

近年、ライトノベル業界内での恋愛作品の盛り上がりが著しく、今回のコンテスト応募作でも多くのご応募をいただきました。
第8回コンテストとしても、現実恋愛・異世界恋愛問わず受賞作品が生まれ、今後も一層注目していきたいジャンルとなっています。
ただ、他コンテストの影響もあってか、魅力的な作品が分散してしまった印象も受けました。

【ジャンルについて(文芸作品・その他ジャンル)】

ここ数年の間で多くのキャラクター文芸を主に扱うレーベルが刊行され、今や一つのジャンルとして定着した感があります。
その影響もあり、過去コンテストと比較してもお仕事モノやグルメモノなどの応募が目立つ形となりました。
ただ、ジャンルが確立したということは、これからの作品には過去に求められてきた内容に+αが必要となってきたことも意味します。
他作品との差別化を図る魅力をどれだけ尖らせられるかが、今後の良い結果につながるかと思いますので、次回も多くの意欲作を期待します。

他ジャンルとしましては、VRMMOや歴史作品、コメディジャンルなどの盛り上がりを感じました。
コメディジャンルとしての受賞となった『女神『異世界転生何になりたいですか』 俺「勇者の肋骨で」』などは、異世界ファンタジーとしてのお約束を上手く使った意欲的な作品となっており、こういった作品が書籍となることは、今後大きな意味を持つのでは、と感じた次第です。

【メディアミックス賞について】

作品の新たな可能性を模索するべく、バンダイナムコアーツ様・バンダイナムコエンターテインメント様・バンダイナムコセブンズ様の協賛のもと『アニメ化』『ゲーム化』『遊技機化』などを企画検討する賞として立ち上がった本賞。
選考段階で、作品の面白さに加えて様々な展開を視野に入れた検討を進めた結果、見事『王立外来危険種対策騎士団は幹部候補生を募集しています。』が受賞となりました。
本作は、各媒体への展開を見据えた検討を進めるにあたり、メディア化の第一弾としてマイクロマガジン社様によるコミカライズが決定しております。今後の展開にご期待ください。

【コミックシナリオ賞について】

小説家になろう原作タイトルのコミカライズの盛り上がりを受け、より漫画としての展開に向いた作品を探すべく設けられた本賞。
お話の面白さに加えてストーリーのメリハリや登場人物の絵映えなど、ビジュアルで表現する際の魅力を重視して選考を行った結果、ハイファンタジージャンルの2タイトルが選出されました。
漫画は市場規模の大きさや海外展開のしやすさなどもあり、チャンスが非常に多いメディアとなります。小説としての面白さに加えて絵映えを考慮した作品が増えることで、今後はさらに盛り上がる賞になるのでは、と感じました。

【短編企画賞について】

※短編企画賞の各コンテストの総評は、こちらをご確認ください。

今回は、文字媒体の新たな広がりを模索するべく、短編作品にスポットを当てたコンテストを開催いたしました。
第一回はチャット小説アプリpeep』で掲載する作品を募集いたしましたが、たくさんのご応募誠にありがとうございます。
短編小説は、世界観の広がりや登場人物の掘り下げなどよりも、一気に読ませる勢いや作品を通して感じられる雰囲気などが重視されることもあり、よりバラエティー豊かな作品が集まった印象です。
また、第二回でおこなった『冬』をテーマにした短編賞につきましても、ご応募下さりありがとうございました。
気軽に創作活動を楽しんでほしいという意図からスタートした、『商業作品化』を伴わない賞ということもあり、ビジネスとしての観点を抜きに、純粋に作品として魅力を感じた作品を選出いたしました。

【選考を通しての所感】

ファンタジー作品についてはまさに群雄割拠といった印象で、ポイントの高低に関わらず作品の独自性を出そうという意図が伝わってきました。
そういう意味では、高水準の作品の中から一握りの受賞作を選ぶのが非常に難しいコンテストとなったかと思います。

また、今回からメディアミックス賞やコミックシナリオ賞などの新しい賞が出たことや、小説家になろう原作タイトルのアニメ化やコミカライズも好調な影響を受け、
通常よりもアクションといった動きの描写を増やした作品や、読者に覚えてもらいやすいようなキャラクターなど、ビジュアル面を意識する作品も増えておりました。
これは、世界観を強く表現する要素にもなるため良い傾向かと思います。
異世界ファンタジーは海外での人気も非常に高く、大きな理由の一つとして『世界観の共有のしやすさ』があげられます。国内ではやや飽和しつつある展開であっても、異なる需要から人気に火が付く場合もありますので、ファンタジーの『王道』としてのクオリティを磨きつつ、他作品との差別化を図るワンポイントの魅力をどれだけ最大化できるかが、今後求められるテーマとなってくるのでは、と感じた次第です。

また、今回は同時期に複数のコンテストが開催されていたこともあり、受賞に向けた検討の俎上に上がっていたタイトルがいつの間にか応募を取り下げてしまっていたケースが散見されました。
応募のしやすさ』がWEBコンテストのメリットではありますが、作品が持つチャンスの最大化を図るのであれば、決断の前に一度コンテストへお問合せいただくことを推奨いたします。

【最後に】

まずは、今回受賞となりましたタイトルの作者の皆様、誠におめでとうございます。
昨今の新型コロナウィルスの影響は、書店の一時休業やそれに伴う発売の延期など出版業界にも大きな影響を及ぼしています。そういった市場の停滞の最中で行われたコンテストということもあり、従来よりもやや控えめな商業作品化点数となりました。
期間中受賞などの早いタイミングで書籍化が決定したタイトルは、すでに発行を間近に控えているものもありますが、多くはこれから書籍化・商業作品化に向けた準備を進めていく形となるかと思います。
市場に急速な変化が求められている中での商業作品化となりますが、コンテストとしましては、受賞作品がより愛されるよう、また、受賞された方がこれからも新しい作品を世に出せるよう、販売促進やメディア化の提案など、できる限りのサポートをしていきたいと考えております。

第8回となる今回のコンテストの大きな変化としては、『短編企画賞』『メディアミックス賞』『コミックシナリオ賞』などの『受賞=書籍化』という前提が適用されない賞の存在があるかと思います。
現在、様々な業界で既存の人気作品を用いたIP展開を進める一方で、新たな波を生み出すべく、より面白い作品、より魅力的な作品を、一緒に育てていこうとする動きが加速しています。
小説家になろうへ投稿し、ネット小説大賞へ応募する以上、『小説家になる(書籍化作家となる)』ことを求める方が多くを占めるかと思いますが、ニーズの変化に対応することで見える景色もあります。
1つの作品に固執することはありません。色々な作品を生み出し続け、自身の可能性を狭めず、より広い視野で創作活動を楽しんでいただけますと幸いでございます。

あなたの夢のため、今後も全力で運営をしてまいります。

この度は、ご参加まことにありがとうございました。今後ともネット小説大賞をよろしくお願いいたします。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です

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