新たに協賛に加わったスターツ出版さまに突撃取材!
日本最大級の小説コンテスト「ネット小説大賞」では、毎年多くの企業さまに協賛いただいています。第13回ではスターツ出版さまが新たに協賛企業として加わりました。さまざまなレーベルを展開するスターツ出版さまは、いったいどのような作品を求めているのでしょうか。
今回は次の3つのレーベルにスポットを当て、お話を伺いました。
・スターツ出版文庫
・ベリーズ文庫with
・BeLuck文庫
編集者さんの本音や創作上のアドバイスなど、ここでしか読めない情報が盛りだくさんです。ぜひ最後までお読みください。
スターツ出版文庫は、「この1冊が私を変える。」がコンセプトの男女向けレーベル。ライト文芸、キャラ文芸、一般文芸、ライトノベルなど、幅広いジャンルを包括して展開中のレーベルです。
——スターツ出版文庫といえば、シリーズ累計発行部数150万部を突破し映画化もされた汐見夏衛先生の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が有名ですね。他にどのような人気タイトルがありますか?
丸井とまと先生の『青春ゲシュタルト崩壊』が映画化され、6月13日から公開されています。「青年期失顔症」という、自分の顔を認識できなくなる病気にかかった主人公が葛藤の中で成長していく物語です。
——映像化に強いレーベルですよね。今話題に挙がった2作は青春ものですが、和風シンデレラファンタジーや中華後宮ファンタジーなど、ほかにもいろいろなジャンルがそろっていますよね。
はい。TVアニメ化が決定した『鬼の花嫁』に代表される和風シンデレラファンタジーにも力を入れています。虐げられて耐えるヒロインをヒーローが救い出す物語ですが、世界観にオリジナリティがあったり、ヒロインを虐げる悪役が強烈にキャラ立ちしているような作品に出会いたいですね。
——ネット小説大賞に応募された作品を読むときに、選考基準となるポイントを教えてください。
冒頭で引きのあるつかみのエピソードが描かれているかを重視しています。たとえば、和風シンデレラファンタジーなら、最初の章で虐げ役とヒロインの格差や虐げを象徴するエピソードをしっかり示し、絶望の底でスペックの高いヒーローが迎えに来るといった内容が一章内でつかみとしてきっちり描かれているかどうかは、審査のポイントになるかなと思います。また、ジャンルとして王道の展開であっても、個性のある魅力的なキャラクターが出てくると、作品として一層惹きつけられます。
——魅力的とは、たとえばどのようなキャラクターでしょうか。
弊社「noicomi」のコミカライズ連載でご好評いただいている、夏みのる先生の『鬼の軍人と稀血の花嫁』を例に挙げますと、人間とあやかしの混血である“稀血”をもつ特殊な設定。虐げられ自信がなかったヒロインがヒーローと出会い、自分の欠点であった“稀血”の能力を認め、強みにしていく成長がうまく描かれています。ヒロインに隠された特別な能力があり、それを開花させていく姿が支持を得ているのかなと考えています。
——最初は頼りなかったヒロインが成長して変わっていくと、読んでいて嬉しくなります。そういったギャップのようなものが読者を惹きつけるのかもしれませんね。
ヒーローの場合、最強のスペックを持ち完璧に見えても実は弱さを秘めている設定が人気です。ヒロインと出会うことで、その弱さを補い合えるような関係性が描かれると、唯一無二の絆や愛が強調されると思います。そういったギャップが立ったキャラクターになると、最終的にコミカライズ映えする作品になり得るかなと思います。
——今年の3月には新レーベル「スターツ出版文庫アンチブルー」も創刊されました。アンチブルーという名前が気になりますが、いったい、どんなレーベルでしょうか?
コンセプトは「綺麗ごとじゃない青春」です。スターツ出版文庫は恋愛を主軸とした青春小説を刊行してきましたが、アンチブルーでは恋愛要素のない青春小説を求めています。恋愛要素に代わるミステリーやデスゲーム要素などの刺激的な設定を入口に、登場人物の裏の顔や本性が暴かれ、ぶつかり合い、変わっていく姿を描いた作品に出会えたらと考えています。
【綺麗ごとじゃない青春】
スターツ出版文庫から新レーベルが創刊!
\スターツ出版文庫アンチブルー/
💫3月28日発売!💫
『ゲーム実況者AKILA』夏木志朋
『死んでも人に言えないヒミツ』雨 pic.twitter.com/qBs2LJyHz6— スターツ出版文庫アンチブルー (@Antiblue_25) March 14, 2025
——応募者へのアドバイスをお願いします。
スターツ出版文庫のキャッチコピーは「この1冊が、わたしを変える。」です。書き手の方の中にも、本に救われた経験がある方がいらっしゃるのではないかなと思いますが、作品で誰かを変える可能性を秘めたものを書いていただけたらと思っています。
――どうしたらそういう作品を書けるのでしょうか。
書き方に正解はありませんが、具体的に届けたい相手を想像しながら書くと、より届きやすくなるのかなと思っています。たとえば、10代向けの作品だったら、誰にも言えずにひとりで悩んでいる人の救いになるようなメッセージを込めたり、和風ファンタジーであれば、非日常的なときめきを求めている方に素敵な夢を見せる設定にしたりなど、読者をイメージしながら書いていただけると、作家さんの思いがより伝わる作品になるのかなと思います。
――届けたい相手を具体的にイメージするのは、ジャンル問わず大事ですね。素敵な創作のヒントをありがとうございました!
ベリーズ文庫withは、恋愛小説レーベル「ベリーズ文庫」の姉妹レーベルで『恋はもっと、すぐそばに。』がコンセプトです。大人の女性が、出会いや恋のトキメキをもっと身近に感じられるような恋愛小説をお届けしています。
――スターツ出版さまのベリーズ文庫はもう10年以上続く老舗レーベルですが、その姉妹レーベルとして、2025年に「ベリーズ文庫with」が創刊されました。これまでのベリーズ文庫との違いや、ベリーズ文庫withが立ち上がった経緯を教えてください。
ベリーズ文庫は、誰もが憧れるようなヒーローに見初められたり守られたり、溺愛される夢のような恋愛小説を生み出してきました。
キラキラしたヒーローとのシンデレラストーリーも継続して人気ですが、創刊時の10年前と比べると、女性の恋愛の仕方や恋愛観、魅力に思う男性像などが変化し、多様になってきていると感じています。もっと違うタイプのヒーローや恋愛の形もあってもいいんじゃないかと編集部内で話が出ました。そこで生まれたのが「恋はもっと、すぐそばに。」がコンセプトのベリーズ文庫withです。
恋愛小説レーベル『ベリーズ文庫with』
2025年2月 創刊決定!「恋はもっと、すぐそばに。」
あとほんの少し、手を伸ばせば届く距離。
もっと、すぐそばにある恋を『ベリーズ文庫with』がお届けします💕詳細はこちらをチェック
▶️https://t.co/Lx3hBezdyR pic.twitter.com/h9LWAxqBMN— 小説サイト Berry’sCafe編集部 (@BerrysCafe_edit) December 18, 2024
――なるほど。また違った層の読者に広がりそうですね。ベリーズ文庫withでは、どのようなヒーローが求められているのでしょうか。
完璧なだけじゃなくて、いい意味でギャップがあるヒーローに出会いたいですね。クールでカッコいい男かと思いきやちょっと情けない部分があったり、少し欠けている部分や意外な面もあると、キャラクターとしての個性が深まって、スペックだけじゃない魅力が出てくるのかなと考えています。
——やはり文体はヒロインの一人称がいいのでしょうか?
そうですね。ヒーローが密かにヒロインを想う気持ちや、男性側が恋に苦悩する様子は、ドキドキ感が伝わりやすかったりすると思います。ただ、男性視点がダメなわけではありません。ヒロイン視点で書きながら、ところどころにヒーローの視点を挟んでいくという形式は、これまで刊行した作品でも行われています。
――読者としては、ヒーローの気持ちも気になりますよね。
そうなんです。ヒーローがどういう気持ちだったのか、ヒロインのことを何で好きになったのかといったことは、読者がキュンとするポイントでもあるので、男性視点だからこそ書けることもあると思います。
——キュンとするストーリーを作るには、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。
ヒーローがかっこいいセリフを言うときに、同じセリフでも、どういう状況のヒロインにどんなシチュエーションで言うかによって、キュンとする度合いが変わってきますよね。ふたりの恋愛に障壁をしっかり作ってもらって、たとえばヒロインが落ち込んだり諦めかけていた瞬間にヒーローが声をかけるとか、そういった工夫があると、より大きなキュンが生まれてくると思います。読者が感情移入して応援したくなるような展開づくりが大切かなと思います。
——ベリーズ文庫with編集部としては、どのような作品に出会いたいですか?
個性が光る作品をたくさん刊行していきたいと思っています。タイトルやあらすじで作品のテーマや面白いポイントが伝わってくるとありがたいですね。
物語の中では、主人公たちの個性が分かりやすく伝わってくるかどうかを重視しています。恋愛ストーリーという大きな枠組みが決まっている中で、その作品のヒーロー・ヒロイン同士だからこその出会いや距離の縮まり方など、キャラクターの個性が活きた展開を楽しめる作品に出会いたいです。
——応募される方へのメッセージをお願いします。
こんなヒーローがいたらいいなとか、こんなヒーローにこんなこと言われたらキュンとしちゃうなという妄想をたくさん募集しています!その妄想に共感してほしいという気持ちを作品にのせていただけると、自然に読者に届くものになると思っています。受賞作品は、ベリーズ文庫withでの書籍化はもちろんのこと、弊社のコミックレーベル「Comic Berry’s」でのコミカライズを検討しています。その先でドラマ化なども目指し、多くの読者に届く作品にしていきたいです。
――ありがとうございました。
BeLuck文庫は全年齢向けBLで、ライトなBLを楽しみたい方や関心はあるけれどまだ読んだことはない方々に向けて「この恋、ずっと見守りたい!」と思えるようなBL作品をお届けする新レーベルです。
——BLは今、とても盛り上がっていますよね。
すごく盛り上がっていると感じています。弊社では刊行している各レーベルの読者の方が、別ジャンルではどんな作品を読まれているのかを定期的に調査しています。その中で、最近は10代の方も男女の恋愛だけでなく、BL作品を多く読まれているということが見えてきました。
10代向けのBL小説を定期刊行しているレーベルはありませんでしたが、読みたい方はきっとたくさんいると考え、2024年12月に全年齢向けのBLレーベル「BeLuck文庫」を創刊しました。
🤍この恋、ずっと見守りたい!🤍
\スターツ出版からBLレーベルが創刊!/
✨ 12月20日発売✨
『フミヤ先輩と、好きバレ済みの僕。』
椿ゆず(@tsubaki_yuzu)/著
砂藤シュガー(@satohsugar)/イラスト
『修学旅行で仲良くないグループに入りました』
隠木鶉(@RcNfe37)/著
510 (@510_gotoudayo)/イラスト pic.twitter.com/WFz9whxOYp— BeLuck文庫 (@BeLuckbunko) December 2, 2024
――小説で高校生男子が主役の全年齢向けのBLレーベルというのは、まだめずらしいですよね。BeLuck文庫から刊行されている作品をひとつ、ご紹介ください。
『修学旅行で仲良くないグループに入りました』という作品が10代の読者の間で話題になっています。すごくキュンとしましたという声をたくさんいただいています。あと「学校に持っていって人前でも堂々と読める」という声も多数ありました。そこは意識して作っていた部分だったので、とても嬉しかったです。
――堂々と読めるのはいいですね!友達にもすすめたり、話題にしやすいですよね。全年齢向けのBL小説を書きたい人も多いと思いますが、これからBeLuck文庫で書いてみたいという人に向けて、アドバイスをお願いします。
幅広い年齢層の方に読んでいただいているレーベルですので、小説自体を読み慣れていない方も多いと思っています。そういった意味で、文体は一人称を推奨させていただいています。また、地の文が多くなりすぎると活字を読み慣れていない人には入りづらくなってしまうので、会話をたくさん盛り込んで書いていただけると、BeLuck文庫の読者さんに届きやすいのではないかなと思っています。
あとは、男子高校生たちが実際に使ってそうな言葉づかいを意識して書いていただくと、読者の方もなじみやすいと思います。スパダリなセリフや大人びた口調が多いと、10代の読者の方は物語の世界に入りづらくなってしまうので、そこは崩して書いていただくのがいいかなと思います。
――特に注目されているキーワードやシチュエーションはありますか?
参考としてお伝えすると、BeLuck文庫のSNSのアンケートでどんなBLを読みたいかを聞いてみたところ「美形(攻め)×平凡(受け)」と、「年下攻め」が人気でした。
ただ、大前提として、まずは作家さんご自身の好きな設定や好きなシチュエーションを詰め込んで書いていただきたいなと考えています。自分の好きな設定でこんなセリフを言わせたいという強い想いをこめて書いていただけるのがいいのかなと思います。
――ストーリーの作り方のポイントはありますか?
男子高校生の「ありそう」な日々の中で不意に訪れた出会いや、思わず叫びたくなってしまうようなキュンとするセリフをふんだんに入れていただきたいです。
また、好きになる前の描写よりも、ふたりの気持ちの変化や盛り上がりに焦点を当てて書いていただけると、恋愛小説としての読後感がよくなるかと思います。
――BeLuck文庫のコンセプト「この恋、ずっと見守りたい!」にもありますが、ふたりの恋愛模様を見守るのがBLの醍醐味ですものね。
はい。BL好きな方はよく「壁になって見守りたい」と言いますよね。読者に受け攻めのふたりを「見守りたい」と思ってもらうために、応援したくなるキャラ設定やエピソードを最初にしっかり見せてもらえると流れとして楽しんでいけると思うので、序盤を大切に書いてほしいなと思います。
――最後に、応募者へのメッセージをお願いします。
BLが大好きな方にぜひ挑戦してもらいたいです。高校生男子が主人公のピュアな全年齢BL小説という新しいジャンルで、若い読者の心を掴んでBL沼に突き落としてしまうような勢いのある作品を書いていただけると、とっても嬉しいです。
どのレーベルでも共通で言えると思いますが、やっぱり自分の好きなものを書いていただくのが一番読者の心を揺さぶると思います。作家のみなさんの「好き」が詰まった作品と出会えるのを楽しみにしています!
――ありがとうございました!
第13回ネット小説大賞の締切は2025年7月23日です。たくさんの方の応募をお待ちしています!