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【田井ノエル先生】『湯築屋シリーズ』完結記念特別インタビュー!

 

 

第6回ネット小説大賞で受賞された、田井ノエル先生に『湯築屋シリーズ』完結記念インタビューを刊行!

作品の魅力から、ネット小説大賞受賞後の作家さんとして活躍されてきた軌跡のお話も伺いました。
これから作家を目指している方々も、ぜひ参考にされてくださいね!

 

 

インタビューする先生

田井ノエル

略してタイノエ。愛媛県在住作家。第6回ネット小説大賞を受賞して商業デビュー。

「道後温泉 湯築屋」シリーズ(双葉文庫)、「大阪マダム、後宮妃になる!」シリーズ(小学館文庫「キャラブン!」)、「転生義経は静かに暮らしたい」シリーズ(角川文庫)等、キャラクター文芸(ライト文芸)や、ライトノベルの分野で出版しております。

Twitter / 『小説家になろう』著者ページ

 

――――この度は10巻にも渡る『湯築屋シリーズ』の完結おめでとうございます!本作は、先生の地元である愛媛の「道後温泉」を舞台に展開される物語ですが、もともと地元をテーマの作品を書きたかったんですか?

田井ノエル

いえ、実は作品を書きだすまでは道後温泉や松山とか、そういった地元のものにあまり興味がなかったんです。

でも、友達の作家さんが松山に遊びに来てくれたことがあって、「良いところじゃん! ここを題材に書いたら面白い小説ができるよ!」って言ってもらえて。

それで書いてみようと思って改めて道後温泉に行ってみたら、知ろうとしなかっただけで魅力的な場所なんだなと思いました。もちろん今では地元、大好きです(笑)!

 

 

――――そうだったんですね! ちょっと意外でしたが、住んでいる場所の魅力はなかなか気づきにくいかもしれませんね。「神様が泊まる宿」という着想は、どこから来たのでしょうか?

田井ノエル先生

私はネット小説大賞からデビューするまでに十二、三年かかっていて、本作を書くまでは異世界ファンタジーしか書いたことがなかったんです。

だから道後温泉を舞台にした現代ものを書くとしても、ファンタジー要素を入れた方が書きやすいかなと思って「あやかしもの」の要素を入れました。

あと、道後温泉というのが神様に由来する、神様の逸話が残っている温泉地なので、神様がくるお宿というのが設定にしました。

 

――――本作の魅力を、先生から教えてほしいです!

愛媛や松山の文化や料理をたくさん題材にしています。

県外の人から「松山に来たい!」と、言っていただけるように。そして、地元の人にも「松山って素敵!」と、思ってもらえる。そんな作品を目指して書きました。メジャーな観光地も、マイナーな観光地も、気に入ったところは取り入れています。

だから、作品の読者さんが聖地巡礼してくださっているのを見ると、本当に嬉しいです。

 

――――聖地巡礼ができるのが、ご当地もの作品の醍醐味でもありますよね。そんな松山の宿で働いている主役の二人は、先生にとってどんなキャラクターでしょうか?

ヒロイン・湯築九十九は元気で明るく、そして何事にも挫けない強いメンタルを持った女の子として書きました。能力面では未熟な部分が多いけれど、絶対に立ちあがれる前向きな性格です。

対するシロは、ちょっと情けないです。強い力を持った美貌の神様で、湯築屋のオーナー、ハイスペックな旦那様なのにどこか抜けていて、子供っぽいワガママを言って九十九をいつも困らせます。

メンタル面では九十九に支えられてばかりで、いいところが少ないかも。いわゆる「スパダリ」を書くのが苦手なので、わたし好みの「残念な男」となっております。

 

――――ちょっとわかります、シロさんは残念なところが堪らなく素敵です(笑)! 作品を通して、二人はどんな夫婦として描かれているのでしょうか。

仲がいいけれど、じれったい。可愛い雰囲気を持った夫婦だと思っています。

シリーズを通して、九十九は高校生から大学生へと成長していきます。でも、性根は常にまっすぐでブレません。一方で、シロは永遠を生きる神様ですが、九十九によって様々な変化がもたらされます。

本作で1番成長して変わっていくのは、実は九十九ではなくシロのほう。初期は自分の殻にこもって孤独だったシロが、どのように変化するのか、シリーズ全体で見守ってくれたら嬉しいです。

 

――――ネット小説大賞から作家デビューされた後、「大阪マダム、後宮妃になる!」シリーズ(小学館文庫)、「転生義経は静かに暮らしたい」シリーズ(角川文庫)など、いろんな作品を出版されてますね。作家として活躍するうえで、先生の強みってなんでしょうか?

田井ノエル先生

デビューまで時間がかかったこともあって、自分の強みがわかるまでは迷走していたと思います。

今となっては、どれだけ散らかった設定にしても無難にまとめられるのが自分の強さなのかなと思っています。王道の設定を使ったとしても、変わった設定を使って遊んだうえで、最後はまとめられる。

だから、企画の段階でも「まとまるかな」というのは考えずに、いろいろ案を出してみていますね。

 

――――率直な質問になってしまうのですが……『ネット小説大賞』受賞後に作家さんとして活躍していくには、どうしたらいいんでしょうか? 

田井ノエル先生

うーん……難しい質問ですね(笑)! 私の場合は、ネット小説大賞で受賞して『湯築屋シリーズ』を連載しながら、新人賞にも応募していました。でも、デビュー作がキャラクター文芸だったので、書き下ろしの機会に恵まれましたね。

それから、企画書をいろんな編集者さんのところへ持って行ったりもしていました。ただ、今はコロナでそういった機会は本当に減ってきているので、ここでは参考にならず申し訳ないです。

 

――――たしかに出版業界も、コロナでいろんな変化がありましたね。

田井ノエル先生

そうですね。ただ、そもそも「企画書が苦手」という方や、「新人賞やコンテストに現物を応募してしまったほうが早い」と考えている方も多くいらっしゃると思います。

それに企画書は、新しいジャンルの作品を書きたいと思っていても、チャレンジが難しいという側面もあります。「企画書は面白くても、先生がこの作品を書いたときのイメージができない」ということになっちゃうことがあるので。

 

――――なるほど……! するとデビュー作って、その後の作家活動においてとても大切かもしれませんね。

田井ノエル先生

私の場合は『湯築屋シリーズ』でデビューしたので、もしかしたら、その後もあやかしものだけを書いていくことになっていたかもしれませんね。

だからこそ、デビュー後も『小説家になろう』に投稿していくのってありだと思っています。私自身も、『小説家になろう』で新しいジャンルに挑戦して、それが書籍化に繋がったことで幅が広がりました。

 

――――「流行を取り入れながら好きなものを書いている」というツイートを拝見したのですが、実際に田井ノエル先生は「後宮もの」「悪役令嬢もの」などを書かれていますよね! 流行を取り入れて書くには、どうしたらよいのでしょうか?

田井ノエル先生

『湯築屋シリーズ』の場合だと、あやかしやご当地ものの先行作を見てみて、「こういうセオリーなんだな」と理解してから書き始めました。それから自分の好きな属性のキャラクターを取り入れたりして、すり合わせていきまししたね。

他の作品でも、編集さんから「後宮ものどうですか」と言って頂けてから、後宮ものを10作品くらい読んでみましたね。それからベースとなっている要素を掴んでいって、自分の書きたい要素とどこまですり合わせができるのかを考えていきます。

 

――――作家さんのアドバイスが『湯築屋シリーズ』を書くきっかけになったというお話でしたが、作家さん同士の繋がりは支えになりますか?

田井ノエル先生

私の場合は仲良くしていた方がみんな先にデビューしていたので、質問や相談をしたり、アドバイスをもらえる環境があったことはとても有難かったです。

作家さん同士だからといって、お互いの作品についてどうこう言うという関係じゃなくていいと思っていて、ゲームをしながら相談するとか、そういう感じですね。

第6回ネット小説大賞で受賞した同期の方とも何人か繋がっていて、今でもお互いに声を掛け合ったりしていますよ。

 

――――たくさんのアドバイスをありがとうございます! それでは最後に、『湯築屋シリーズ』を読まれてきた方々に、メッセージをお願いします!

田井ノエル先生

湯築屋シリーズが全10巻、完結できたのも書籍やWEBで読んでいただけた方のおかげです。これまで読んできてくださった皆さんへの感謝を忘れずに、今後も作家活動を続けていきたいと思います。ありがとうございました!

 

最終巻のご紹介

神の湯が湧き出る道後温泉の一角に佇む温泉宿「湯築屋」。ここは神様だけが門を潜れる不思議なお宿。若女将の湯築九十九は仕事に青春に大忙し。宿のオーナー兼夫の稲荷神シロとも徐々に絆を深め結婚生活も順調(?)だった。そんなある日、かつてシロが神使として仕えていた宇迦之御魂神が湯築屋に現れる。ついにシロと、表裏の存在である天之御中主神を対話させるために「儀式」を行うというのだ。九十九は、シロと湯築屋の未来を決定づける大きな選択を迫られ……。大人気シリーズ、ついに完結!

道後温泉 湯築屋 : 10 神様のお宿で永遠の愛を囁きます

 

 

 

ネット小説大賞

田井ノエル先生、本当に5年間の連載、お疲れ様でした! そして後進の皆さまへのたくさんのアドバイスをありがとうございます。
これからも先生のご活躍を心より応援しております!

 


 

田井ノエル先生のシリーズ紹介

 

大阪マダム、後宮妃になる! 五祭期は豊穣盛儀動乱編(小説/小学館)

主上と偽寵妃、絶体絶命!?

蓮華が凰朔国の後宮に入り皇帝・天明の(偽)寵妃になってから、もうすぐ三年。前世の知識を生かしながら次々と事業を手がける蓮華の影響を受けて、今や後宮は大きく様変わりし、新しい文化が広まっている。
 このたび開催される、凰朔における秋祭りである天翔祭でも、これまでにない演物として神輿の行進を提案した蓮華。妃たちも盛り上がって一致団結、神輿計画は着々と進められていた。祭りの準備に忙しい蓮華だが、ずっと気になっていることがある。「正妃になってほしい」と天明に告げられてから、天明のことを考えるとどうにも頭が混乱してしまうのだ。
一方、重大な告白を蓮華にあっさりと受け流された天明も、気持ちの整理がつかず蓮華を避けるように…。
 そんなふたりのもとに、不穏な知らせがもたらされる。皇城に侵入者があったというのだ。そして――凰朔という国が、天明や蓮華の立場が、大きく揺らぎはじめる…!?
 大阪に生まれ道頓堀で死んだ記憶を持つ蓮華、最悪の事態にどう立ち向かう!? 転生×中華後宮物語、第五弾!

 

大阪マダム、後宮妃になる!4巻(漫画/小学館)発売予定!

2023年1月12日にコミカライズ第4巻も発売! 漫画1巻のご購入はこちらから。

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